【岡山版】認知症の親の実家を売却する全手順|成年後見の壁と「収支計画書」で損をしない実務の知恵
掲載日 : 2026/02/20

岡山県内で「親が認知症になり施設に入所したため、空き家になった実家を売却したい」というご相談が急増しています。しかし、所有者である親御様の意思確認が難しい場合、通常の不動産売却手続きはできません。無理に進めれば契約が無効になるだけでなく、法的なトラブルに発展するリスクもあります。
この記事では、フォーシーズン株式会社の2025年度実績(売却査定依頼1255件・仲介売買取引380件)に基づく実務経験から、認知症の親名義の実家を安全かつ確実に売却するための全手順を解説します。成年後見制度の活用から、岡山特有の農地・市街化調整区域の扱い、手残りを最大化するための「収支計画書」の活用法まで、遠方在住の方でも失敗しない段取りを網羅しました。
Step1:認知症の親の名義で実家を売るための「3つの絶対条件」と意思確認の現実
【結論】このステップでは、所有者である親御様の「意思能力」を確認し、売却手続きが可能かどうかを法的な観点から判断します。
不動産売買契約は、売主本人の「売る意思」と「契約内容を理解する能力(意思能力)」が必須です。認知症の診断があっても、症状が軽度で意思能力があると司法書士等が判断すれば、成年後見制度を使わずに売却できるケースもありますが、重度の場合は制度利用が不可避となります。
- 意思能力の確認:面談時に「家を売ること」「売却金額」「売却後の住まい」を理解しているか確認する。
- 司法書士への相談:所有権移転登記が可能か、専門家による事前確認を行う。
- 推定相続人の同意:将来のトラブルを防ぐため、家族・親族間での合意形成を図る。
実務での判断ポイント:
私たち実務の現場では、ご家族が「まだ大丈夫」と思っていても、司法書士の面談で「意思能力なし」と判断され、売却計画が白紙に戻るケースを数多く見てきました。まずは独断で進めず、専門家を交えた意思確認を最優先してください。
条件分岐:
意思能力が「ある」と判断された場合は、通常の売却活動(Step4へ)に進めます。一方で、意思能力が「ない」と判断された場合は、次のStep2「成年後見制度」の手続きが必須となります。
Step2:【実務の現場】成年後見制度の申し立てから家庭裁判所の売却許可を得るまでのリアルな期間
【結論】このステップでは、家庭裁判所へ成年後見人の選任を申し立て、さらに「居住用不動産処分許可」を得るまでの手続きを進めます。
認知症で判断能力が不十分な場合、親族等が成年後見人となり、本人に代わって契約を行います。ただし、自宅(居住用不動産)を売却するには、後見人の選任とは別に、家庭裁判所の「許可」が必要です。これは本人の生活拠点を失う重大な行為であるため、慎重な審査が行われます。
- 成年後見開始の申立:医師の診断書、戸籍謄本、財産目録などを用意し家庭裁判所へ提出。
- 後見人の選任:申立から選任まで通常1〜2ヶ月程度。親族がなれるとは限らず、弁護士や司法書士が選ばれることもあります。
- 居住用不動産処分許可の申立:売買契約の案(ドラフト)や査定書、売却が必要な理由書(施設費用に充てる等)を提出。
実務での注意点:
申し立てから売却許可が出るまで、スムーズに進んでも半年〜1年近くかかることが珍しくありません。「来月の施設費用が足りないからすぐ売りたい」というスピード感では対応できないのが現実です。また、売却代金は原則として本人のために管理・使用されるため、家族が自由に使えるわけではない点も誤解されやすいポイントです。
Step3:岡山特有の「農地・市街化調整区域」を含む実家じまいで詰まりやすいポイント
【結論】このステップでは、物件の法的規制(農地法・都市計画法)を調査し、売却の障壁となる要素を洗い出します。
岡山県内の実家売却で頻発するのが、敷地内に「農地(田・畑)」が含まれている場合や、建物が「市街化調整区域」にあるケースです。これらは法律で購入者が制限されるため、一般的な宅地よりも手続きが複雑化します。
- 農地の確認:農地法第3条(農家への売買)や第5条(転用して売買)の許可が必要か確認する。
- 市街化調整区域の調査:再建築が可能か、誰でも住める家か(属人性の有無)を行政に確認する。
- 境界の確認:隣地との境界杭があるか確認。未確定の場合は測量が必要になることがあります。
実務での失敗例:
「農地だと思っていなかった家庭菜園が登記上は畑だった」ために、農地法の許可が下りず決済が延期になるトラブルは後を絶ちません。また、市街化調整区域の古い家は「再建築不可」の可能性もあり、資産価値が大きく変わります。相続状況や物件種別によって最適な進め方は異なるため、初期段階での詳細な調査が不可欠です。
専門家への取次:
境界が不明確な場合は「測量士・測量コンサルタント」へ、農地転用が必要な場合は「行政書士」等の専門家へ、弊社から条件に応じてお取り継ぎいたします。
Step4:仲介か買取か?「収支計画書」で比較する手残り額とスピードの最適解
【結論】このステップでは、査定価格だけでなく、諸経費を引いた「手取り額」と「売却期間」を比較し、仲介と買取のどちらが適しているかを決定します。
売却相談・不動産査定は無料にて相談を賜っております。その際、単に「いくらで売れるか」だけでなく、税金や手数料を引いた最終的な手残りをシミュレーションした「不動産の売却に伴う収支計画書」をお渡しいたします。
- 仲介(高く売りたい場合):市場価格で売れる可能性があるが、いつ売れるか確約できない。買主が見つかるまで管理費がかかる。
※仲介手数料(売却価格の3%+6万円+税)が必要です。 - 買取(早く現金化したい場合):相場の7〜8割程度の価格になるが、最短数日〜数週間で決済可能。仲介手数料は不要で、契約不適合責任も免責されることが多い。
判断基準の整理:
成年後見制度を利用する場合、家庭裁判所は「適正価格での売却」を求めます。そのため、基本的には「仲介」での売却活動が優先される傾向にありますが、長期間売れずに本人の生活費が不足する場合は、合理的な理由があれば「買取」が認められることもあります。
実務でのアドバイス:
「近所に知られずに売りたい」「遠方で管理が限界なので一刻も早く手放したい」という場合は買取が有利です。一方で、時間はかかっても「親の資産を少しでも高く残したい」場合は仲介を選びます。この判断を誤ると、後悔や親族間トラブルの原因になります。
Step5:遠方在住でも安心な「実家じまい」の段取り:遺品整理から提携士業への取り次ぎまで
【結論】このステップでは、家財の片付け、解体、登記手続きなど、売却に伴う実務作業をワンストップで手配し、引き渡しを完了させます。
実家じまい・家じまいには、不動産の売買契約以外にも多くの作業が発生します。特に遠方にお住まいの方にとって、何度も岡山に帰省して業者を手配するのは大きな負担です。
- 家財整理・処分:残置物の撤去。必要に応じて信頼できる遺品整理業者を手配します。
- 解体・測量・リフォーム:更地渡しが条件の場合や、測量が必要な場合、それぞれの見積もりを取得し、段取りを組みます。
- 決済・引き渡し:売買代金の受領と鍵の引き渡し。司法書士による所有権移転登記を行います。
費用に関する注意点:
売却相談は無料ですが、登記・測量・解体・リフォーム・清掃などの実作業には実費が発生します。これらは必要に応じて見積もりを行い、事前に費用感を提示しますのでご安心ください。
環境価値への配慮:
想いの詰まったご実家を、解体せずに中古住宅として次の方に住み継いでいただくことは、資源の無駄を減らし、結果としてCO2削減につながる側面もあります。私たちは「壊す」だけでなく「活かす」選択肢も大切にしています。
専門家連携:
相続登記が未了の場合は「司法書士」、売却後の税務申告が必要な場合は「税理士」、親族間で遺産分割の争いがある場合は「弁護士」へ、状況に応じて適切にお取り継ぎいたします。
まとめ
認知症の親御様の実家売却は、意思能力の確認や成年後見制度の活用など、法的なハードルが高い手続きです。しかし、正しい手順と専門家のサポートがあれば、安全に資産を現金化し、親御様の生活を守ることができます。
フォーシーズン株式会社では、2025年度だけで11億円分の不動産買取(仕入れ)を行うなど、豊富な資金力と実績で「仲介」と「買取」の双方をご提案可能です。まずは無料査定と収支計画書で、現状の整理から始めてみませんか。
関連する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
監修者プロフィール
本記事は、フォーシーズン株式会社が監修しています。岡山県内の相続による資産処分(農地・田・畑・戸建住宅・宅地・マンション)から、売却査定・買取査定・即現金化まで、実務に基づいて情報提供しています。
取り扱いは、空き家・空き地に加え、1棟アパート・1棟マンション・ビル・事務所などの収益物件、工務店の家・ハウスメーカーの家まで幅広く対応します。他府県在住で岡山県の資産を処分したい「遠方対応」も、現場で実際に起こることを前提に段取りを整理します。
売却相談・不動産査定は無料にて相談を賜っております。売却・買取査定をご提案する際は、不動産の売却に伴う収支計画書をお渡しし、手取りや諸費用の見通しを明確にしたうえで、売却(仲介)と買取のどちらが合うかを整理します。
また、登記・測量・解体・リフォーム・清掃などは必要に応じて見積もりを行い、手戻りが出やすいポイント(名義・共有・境界など)を先に洗い出して、売主様のご負担が増えにくい進め方を重視しています。相続状況や名義、共有、物件種別(農地等)により判断は異なるため、最終的な進め方は個別事情を踏まえて検討します。
実家じまい・家じまいでは、家財の仕分け・処分(必要に応じて遺品整理業者の活用)から、不動産の処分(売却、解体して更地、賃貸)まで、手続きと費用が絡む全体像を整理し、次に何を決めるべきかを明確にします。
想いの詰まった自宅についても、状況により中古住宅として次の方に活用されることで、結果としてCO2削減につながる側面があります。数字を断定するのではなく、一般論として「活用される価値」を踏まえて選択肢を整理します。
- 荒木隆正(代表取締役):業界歴31年・取引実績2300件超
- 菊池貴也(取締役(開発事業部部長)・宅地建物取引士):業界歴21年・取引実績150件以上
- 水嶋章人(取締役(仲介事業部長)・宅地建物取引士・FP2級・賃貸不動産経営管理士):業界歴12年・取引実績500件以上
2025年度の実績
仕入れ:25現場・75区画、11億円分の不動産を購入
売却査定依頼:1255件(うち売却のご依頼:220件)
仲介売買(売却・購入):取引実績380件
提携士業・専門家へのお取り継ぎ
弁護士:相続財産の家族兄弟間トラブル等が生じている場合、弊社提携弁護士をご紹介いたします。当事者間で解決が難しいケースは、専門家に任せることで早期整理を図ります。
税理士:相続税や不動産売却に伴う税の論点整理が必要な場合、弊社提携税理士をご紹介いたします。様々な税に関するアドバイスにより、納税の軽減につながるケースもあります。
司法書士:遺産分割協議の整理、相続登記など、登記名義人を確定したうえで不動産売却を進める必要があるため、法令に基づいて適正に相続財産の仕分け提案を行い、手続きにつなげます。
測量士・測量コンサルタント:土地の分割、測量などを行い境界確定業務を行います。境界が曖昧・未確定の場合、隣接地所有者とのトラブルを未然に防ぐ観点から、測量境界確定が必要となるケースがあります。
お客様のご要望に応じて専門家へのお取り継ぎを行います。
【取材掲載】
荒木隆正:https://www.hakka-japan.com/post/4seasons
水嶋章人:https://wakusuma.com/magazine/column/worker/2024-0621/
https://wakusuma.com/magazine/column/worker/2024-0603/
https://wakusuma.com/magazine/column/worker/2024-0611/
一般論の説明にとどまらず、「この物件はどの進め方が合うか」、「価格とスピードの優先順位をどう決めるか」、「トラブルや手戻りになりやすい点はどこか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。